それはシトシトと冷たい雨の降る寒い冬の日だった。
水道管が破裂してはイクナイので、外にある水道管に布を巻こうと汚庭にでた。
ふと物置(倉庫)を見たら、物置の扉が外れてて倒れていた。
扉をおこすときに、物置の中ほどに猫がいた。
白と黒の、でも真っ黒いこの猫はお隣さんちの猫で、かなりのデブ猫である。
外で飼われている猫なのか、たいてい外に居る。
夏も冬もいつも我が家のガレージやテラスや庭に居る。
夏は涼しげな場所を見つけ、冬はひなたぼっこをしている。
なぜいつも我が家にいるのかわからないが、たまに鳥の死骸をお礼にくれるので、猫なりのお礼のつもりなのであろう。律儀な猫である。
なので鳥はありがたく頂戴し、焼き鳥にする。(嘘)
このデブ猫が、物置の中にいた。
風は強く冷たい雨の降る寒い日だったので、物置の中のグシャグシャになっているビニールの中で丸まっていた。
物置の扉を倒れたままにしておくわけにもいかず(使ってない家具とかワインとか置いてある)、かわいそうだけどおうちにお帰り~と猫を追い出し、扉を閉めた。
閉めたといってもうまくはまらないので、隙間があいていた。
で、3日後の日曜日に旦那に、「物置の扉が外れてるけど私じゃ直せない。雨が吹き込むと嫌だから、ちゃんと閉めてきて。」
と頼み、旦那が物置に行ったら、また猫が入り込んでいたという。
旦那がシッシと追い出し、重い扉をきちんとはめ直した。
その3日後。
うちの猫がおたくの庭のどこかで閉じ込められています。鳴き声が聞こえるんです!
と、お隣さんが旦那の事務所にとつぜん電話をかけてきた。
我が家の電話はイエローページには載せていない。郵便ポストに書いてあった旦那の名前を調べたら旦那の事務所がでてきたらしい。
うちはしがない自営業だが、いちお事務所がある。
で、旦那がびっくりして私に電話をかけてきた。
汚庭に出ると、隣んちのマダムが庭越しに「猫がいるんです。見てください。」と半泣きになってる。
もちろん心当たりがあるので、物置に近づくと「みゃおみゃお」と鳴いているのが聞こえた。
マダムに「物置に居ます。今出します」と伝え、よいしょよいしょと扉を持ちあげ開いたら、みゃおみゃお言いながらデブ猫が出てきた。
ひぇぇぇぇぇごめんごめんデブ、ごめん。
ノシノシ歩いて飼い主の所に行き、ごろごろ転げまわっていた。
日曜日の朝に扉を閉めたので、水曜日の昼過ぎまで監禁してしまったことになる。
ひえ~~~~Σ(゚д゚lll)
ただこんなとき、フランスでは謝ってはいけない。
「なんだか残念だわ・・・」とつぶやくだけにとどめる。
隣んちのマダムも「ありがとう、よかったわ」とニコリともせずに去っていった。
心の中では激おこプンプン丸(古)であっただろう。
僕は戸を閉めるときに猫が出ていったのはちゃんと確認した。いつ入ったんだろう。
ガタガタやってたときにまた入ってしまったんだろうか。
と旦那も不思議そうにしてたけど、そのうち

そもそもこんな寒い時に飼い猫を外へ出しっぱなしにしている飼い主が悪い!
僕が戸を閉めたのは朝の9時ごろだ!
僕たちには扉を閉める権利がある!
と怒っていた。
デブ猫だったせいか、3日間飲まず食わずでも平気だったのだろうか。
ちなみにわが家にはピンポーンという呼び鈴がないので、外部から人はやってこれない。
フランスは「荷物でーす」と配達員を装うなりすまし強盗もいるので、わが家は不在通知を入れてもらっている。
(友達がくるときは事前に電話をもらい門を開けておく)
なので隣家も困ったと思う。
ポストに手紙も入っていた。
「日曜日からうちの猫が、おたくの庭のどこかで閉じ込められています。大至急、ここに電話してください。電話番号~~~~。」
ポストも1週間に1度くらいしかのぞかないので、全然気づかなかった。
その後猫は見かけないので、たぶん家にこもってるのだと思うけど、まさか衰弱死ってことはないよね・・・とちょっとビビっている。
もう少し暖かくなったら、一度元気な姿を見せにきておくれ。
待ってるから。
【追記】
その後デブはますますデブになり、相変わらずわが家に侵入してきます。
【再追記】
その1年後デブ一家は引越ししていきました。
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