悲劇はこの海で起きた。
普段は静かなわが町も、夏になるとウジャウジャウジャウジャ海水浴客で混雑する。
旦那が「たまには海で泳ぎたい、混雑するまえに泳ぎたい」というので、平日の朝8時ごろに(まだ涼しいのに)あまり人がこない場所をわざわざ選んで行った。
そして人がいないゆえ、こののち不幸なデキゴトが起こる。
私は海水が冷たいのがイヤで泳がなかった。
シーグラスはないけど、丸みをおびたきれいな石を10歳の少女のように拾って遊んでいた(10歳)
泳ぎたい!と騒ぐわりには10分ほど泳いだらもう気が済んでしまったのか、旦那が、もう帰ろう!と着替え始めた。
車の鍵は?
はい?車の鍵は、あなたが持ってますよ。
持ってないよ、キミが持ってるんじゃないの?
持ってないよ、預かってないもん。
う、うそをつくんじゃない。はよ出せ車のカギ
ほんとに持ってないよ。あーた、どこに置いたのん?
・・・え?・・・
・・・・え?・・・・・・・・
・・・・・・・・・・ええ?・・・・・・・・・・
嫌な予感がする。
旦那は車の鍵をいつもズボンのポケットにしまっている。
家から水着を着てきたため、その水着のポケットに鍵を無意識に入れたのかもしれない。
おそるおそる聞いてみた。
あ、あ、あんたまさかカギを水着のポケットに入れて泳いだんじゃ・・・・・?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ええ、ええ、その通りです。
このバカはカギを水着のポケットに入れたまま泳ぎやがったんです!
(よって鍵を海中に落としたことに気づく)
そのとき、旦那が幽体離脱した。
ケータイもお金も車の中に置きっぱなしなので(旦那が車の中に置いていけ言いましたので)、私のバッグの中にはハンカチ・ティッシュ・海で拾った美しい石・家のカギ・・が入っているだけ。
かろうじて家のカギを持ってたのは不幸中の幸いだった。
家にかえれば車のスペアキーがある。
でもケータイさえあれば、近所の友達に電話してヘルプミ~できたのに、朝も早かったからまわりに誰もいないからケータイも借りられない。
で、このままここにいても仕方ないので、放心状態のトロピカル野郎に、家まで歩いて帰ろう・・と言った。
だって潜ってカギを見つけたとしても電池が水でダメになってるから、車のロックが解除できないよ。ドアも開かないよきっと。家にスペアキーがあるから取りにいくしかないでしょう。
家まで、何キロあると思ってるの?
4キロくらい?5キロあるかも・・・
電話もないし、お金もない、なにもないよ、歩くしかないじゃん。
ここでまた旦那が2度目の幽体離脱をした(☉∀☉)
普段一切のスポーツをせず、車ばかりで移動している旦那は、家までのこの長い距離(しかもけっこう勾配がある)を歩くなんて、地獄への旅路になると想像したんだろう(暑いし)
散歩だと思えばよいと言ったんだけど、サンダル履きで長距離歩くのはけっこうキツイ。
なんかペッタンペッタンいってるし。
でもどうせ歩くなら楽しく歩こうと、Tシャツもトロピカルなので、「ララララララやぎさんも~メェメェ♪」って歌ってなごませてるのに、
出勤前のデキゴトだったので、とつぜんドタキャンしなくちゃならないクライアントのこととかそういうことをいろいろ考えはじめたら、抜けてた魂が戻ってきたらしく、
はあ、もうずんずん歩いちゃって
タオルくらい拾えよオイ。
まあ、なんとかかんとかやっと家まで到着して、近所の友達に電話して、大爆笑されながら海まで送ってもらい、スノーケルつけて一応カギを探しに二人で潜ってみた。
で、探すこと約10分、いちおカギは見つかったんだけど、やっぱりロックを解除する部分がやられてて使えなかった。
で、海の中でスノーケルしながらカギを見つけたのが、たまたま私だったために
君、もしかしてボクをいじめようと思ってわざとカギを海に落としたんじゃない?
って言いだした(笑)
じゃなければ鍵が見つかるはずがないと。
そんな簡単に海の底にある鍵が見つかるはずないと。
僕が泳いでるときに、君がカギを海に投げたんだ・・・・きっとそうだ、と。
自分の非を認めたがらないフランス人ってこういうこと言います。
フランス人と結婚するのはやめた方がいいと思います(笑)
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